2014年5月28日水曜日

【今日の読書】素数夜曲 女王陛下のLISP [701]

書名
素数夜曲 女王陛下のLISP
著者
吉田 武
出版
東海大学出版会
価格
3600円
ISBN
978-4-486-01924-4

 本日読了。870ページもある大著です。大変な意欲作だと思います。およそ 350ページの前半部分は数学の女王たる整数論の話です。後半500ページはLISP の親戚であるSchemeを使って、整数論の色々な事をプログラムとして計算機上 で動作させていきます。Schemeで分かりにく継続の説明なんかも分かり易く書 かれていました。また実行結果をgnuplotで画像化するのも面白いですね。ラム ダ計算(本書内ではラムダ算法と表記されている)の説明もあります。再帰の概 念も、前半の整数論で自然に再帰が使われているのですんなりと理解できる様 になっています。

 全体として、説明の丁寧さに疎密があり、疎な部分は自分で式と式の間を補 完しないと理解し難いです。また時々別枠のコラムの様な扱かいでかなり無関 係に見える事が書いてあったりして不思議です。急に分かり難い比喩で迂遠冗 長な講釈がはさまったりもします。

 Project EulerとかCode IQに挑戦する人には丁度良い本なのでは無いでしょ うか。ただ極めて大きな問題点がこの本にはあります。兎に角、分厚く重い本 なので持ち運びが辛いという事です。前半と後半が別冊になっていれば、通勤 途中などでも読み易いくて良いと思うのですが、わざわざ一冊にしたのは筆者 の意図もあるのでしょう。

2014年5月17日土曜日

Legacy of the Crystal Shard 3 [163]

 アイスウィンドデイルを舞台にしたキャンペーンです。DMはつかださん。参加者は以下の通り。全員途中で3レベルになりました。。
  • [撃破役/防衛役], チキチキ, Hybdir Range/Warden, Thre-Kreen, 画伯
  • [撃破役/防衛役], パック, Berserker, Pixie, ほえほえさん
  • [撃破役], シエラ, Hybrid Vampire/Monk, Eladrin, からくりさん
  • [指揮役], ブライス, Skald, Tiefling, 羽生さん
  • [指揮役], チカピナ, Hybrid Cleric/Sentinel(Multiclass Assassin), Gnome, さるしんごさん
  • [制御役], ローレン, Excutioner(Way of the Ninja, Multiclass Invokar), Wood Elf, 死せる詩人
12時に開始して20時終了。戦闘遭遇は4回だったかな? 情報収集や方針決定など話し合いが多く、そちらに時間を使いました。

2014年5月1日木曜日

D&D4版 役割の超越

 2008年にD&D4版が発売してすぐに遊び初めて6年弱。そろそろ今年の夏には5
版が発売される予定です。

 4版でMMOから「役割(role)」という概念が移植されてきました。僕はMMOの事
はさっぱり分かりませんが、4版で新しく導入された役割の概念には利益と不利
益が両方存在する様に感じました。両者は概ね釣り合っています。

 初級者にとっては、役割が明確になっている事で自分がゲーム内ですべき事
が理解し易くなるので遊ぶ上での助けになっています。また選択に迷った際の
指針にもなります。
 熟練者にとっては、互いに役割を意識する事でより強力なパーティを構築す
る事が簡単になりました。またその役割に求められる必要条件さえ満たしてい
れば良いという合意を得易いので、キャラクタ構築の際の精神的な自由度が大
きくなっています。

 不利益については誰にとっても同じで、役割が拘束具になってしまう事があ
るという事です。役割に求められる能力を実現する事に拘泥し過ぎたり、役割
の壁を墨守しようとして固陋になってしまうのです。例えば4人以上のパーティ
であれば4つの役割が揃っていなければいけないという考え方も、役割のルール
に拘束されて自由を失っているパターンの一つと言えます。

 4版の役割というのは、本質的にはキャラクタの持っている機能を体系化した
ものです。ある特定の機能を持っているクラスを、機能毎に [撃破役] や [指
揮役] という名前を付けて管理している訳です。逆の方向から見るならば、特
定の機能をパッケージ化した物が4版のクラスになっているのです。ですからパッ
ケージを利用すればその役割に求められる最低限の性能は発揮できるようになっ
ています。

 であれば、ある役割 A に求められている「特定の機能」を実装できるのであ
れば、ルール上役割が A ではないクラスを使って構築したキャラクタであって
も、その役割 A を名乗る資格があると言えるのではないでしょうか。

 この仮説を確かめる為に、ここ2年で実験を重ねてみました。しばらくの間は
ハイブリッドクラスを用いて、例えば制御役をやるために防衛役と制御役のク
ラスでハイブリッドして、本来の制御役クラスが持つ能力を一部抑制する形に
してみたのです。

 実験の結果、役割が持つ機能には他の役割のクラスでも実現し難い物とそう
でない物がある事が良くわかりました。具体的には

* 指揮役の持つ他者回復能力
* 防衛役の持つマーク能力

この2つは、かなり他所から持ってくるのが難しい能力です。特に他者回復能力
は指揮役以外では充分なだけ実装するのが困難です。一方

- 制御役の制圧能力
- 撃破役のダメージ出力

は比較的他のクラスでも実現し易い能力です。

 これらの知見を基に、役割を超越するキャラクタ構築のある種の極限として
<a href="http://siseru.blogspot.jp/search/label/LotCS">Legacy of the
Crystal Shard</a> のキャンペーンで撃破役のクラスであるアサシン (エクス
キュージョナ) で制御役を果す事に挑戦してみました。

 制御役に求められる能力というのは色々ありますが、代表的な物は以下の能
力ではないでしょうか。

- 広範囲ダメージ (≒雑魚の処理)
- 敵の行動阻害

 行動阻害については、様々な手法があります。

- 移動困難地形を作り出す
- アクションを制約する状態異常を凭らす(daze, stun, dominate, slow,
immobilize, restrain等)
- 強制移動、テレポートによる立ち位置変更

 4版に於いては強制移動というのは極めて強力で便利な能力です。僕は撃破役
以外のキャラクタを作成する場合、強制移動能力については常に気を配って作
る様にしていますし、それをキャラクタの戦術の主体にする事も多々あります。
 強制移動は

- 敵の位置変更
- 見方の位置変更
- 伏せ状態の誘起
- 組み付きからの脱出

といった複数の目的に使う事ができます。また強制移動能力は比較的取得コス
トが安く見積られている傾向があり低レベルからも活用できますし、それが故
にモンスタも強制移動能力を持っている事が多々あります。これは強制移動が
それだけでは大きな効果を発揮する事が少ない為でしょう。ですが「位置」と
いうゲームに於ける最も基礎的な状態を変更するので、様々な能力と組み合わ
せる事が可能なのです。
 逆に強力な状態異常 (daze, stun, restrain等) は取得コストが高く、アイ
テムや特技といったクラスに依らない方法で得るのが難しくなっています。

 さて僕が Legacy of the Crystal Shard で実践している役割を超越したキャ
ラクタ構築ですが、以下の様な考え方で作成しています。

- 通常2レベル制御役であれば
- 遭遇毎の攻撃パワーは1つ
- 無限回パワーで雑魚を掃討するパワーを持つ
- 一日毎の攻撃パワーは1つで、これは強力な制御能力を発揮する

 さてこれで機能するでしょうか。既にこのキャラクタで2回セッションをして
いますが、まだまだ未知数です。