僕が執拗に喧伝している所為かもしれないけれど、ここの所僕の周囲で――ママチャリと比べれば――高級でスポーツライドに適した自転車を購入する人が出現しています。分けても僕が酷使してその良さを十二分に知悉しているBromptonに興味を持つ人が多いのです。
僕がBromptonについてちゃんと説明する間もなく衝動的に購入した友人もいるのですが、僕としては説明責任を十分に果したとは言えず忸怩たる思いがあります。
そこで僕の友人・知人でBromptonを購入しようと考えている(或いは任意の未来の時点でそう思い至るかもしれない)人に向けて、僕のお勧めのBromptonについて叙述しておきます。
●Bromptonの良さ
一つ一つについて詳しく語ると長くなるので、僕が思うBromptonの良さについて箇条書きにします。
- 折り畳み時の小ささ、まとまりの良さ(折り畳んだ状態で持ち上げてもバラバラにならない)
- 折り畳み・展開手順の簡単さ
- 折り畳んだ時に自立する点、そのまま転がせる点
- 上記の折り畳みに関する特長から生じる輪行[*1]の簡単さ
- (ママチャリなどの一般車と比べた場合の)走行性能の高さ
- フレーム、各パーツの耐久性の高さ
- 荷物の積載・運搬能力の高さ(フロントキャリアシステムは優秀)
- 電装の良さ(ダイナモ発電の前照灯・尾灯)[*2]
- [*1]輪行:
- 自転車を折り畳むか分解した上で専用の袋・カバンなどに入れて電車等の公共交通機関に持ち込み移動する事。各鉄道会社・バス会社・航空会社・船舶会社により輪行の規定が異なるので注意が必要です。
- [*2]電装について:
- 2009年モデル以前で使われていたボトルダイナモの場合、若干の工夫が必要。2010年モデルから採用されたハブダイナモならばそれも不要です。
●日本でのBrompton
もう1点、注意しなければいけない事があります。Bromptonを作っているBrompton Bicycle Ltd.はイギリスの会社です。工場もイギリスにあります。そして、Brompton Bicycle Ltd.と契約して日本へ輸入しているのはミズタニ自転車株式会社(以下ミズタニ)という輸入代理店です。
ミズタニは、Brompton Bicycleが発売している全てのモデルを日本に輸入しているわけではありません。例えばP型ハンドルを装備したモデルは2010年後期以後ミズタニのカタログからは消えます(2010年6月18日時点ではミズタニのサイトにはPモデルも掲載されていますが、これは2009年以前の在庫を販売しているだけだと思われます)。
今回は敢えて、ミズタニが輸入していないモデルについても言及します(僕の友人には英語に堪能な人物が多いですし、個人輸入代理なんていう商売もあります)。
●Bromptonの各モデル
Bromptonにはいろいろな種類の車体があります。横浜のGreen Cycle StationのBromptonのページにある『モデル名の見方』が分かり易いので見て下さい。
簡単に説明すると、
- ハンドル形状3種類(M/S/P)
- 変速段数(1/2/3/6速)
- リアキャリアの有無[*3]
- チタン部位の有無
がモデルにより異なるわけです。
- [*3]キャリアについて:
- ミズタニは2010年後期モデルからキャリア付きモデルを廃止して、キャリアをオプション部品として扱うのみになりました。
●独善的推奨モデル
まずハンドルの形状ですが、僕のお勧めはMかPです。何故ならSハンドルの場合、Brompton独自のフロントキャリアの中でも小さいもの(B-bag、O-bag、A-bag)しか使えないからです。
見た目の好みを鑑みないならば、大きいバッグ(T-bag、C-bag、Folding basket)を使わず、1グラムでも軽い方が良いという人のみSが向いていると言えます。
次に変速段数ですが、都内は坂が多いので6速が良いでしょう。少しでも軽い方が良いという場合は1速乃至2速がお勧めです。最初に3速を買って後で6速に改造するというのは、最初から6速で買う場合と比べて高く付くので止めた方が良いです(3速と6速モデルの差額は1万5000円程ですが、3速を後から6速にすると諸々で3、4万円は掛かるでしょう)。
また6速の場合、余程脚力に自身がある人でなければ5、6速当たりのギアが重くて使い辛い筈です。これはチェーンホイールを標準の50Tから44Tに変えると改善します。更に軽くしたいならば、リアスプロケットのトップ側を12Tから13Tに変えれば十分に軽くなります。
リアキャリアですが、軽量を追求するのでなければ絶対に付けたいパーツです。積載量が増えるのも良い点ですが、折り畳んで転がす時にキャリアがあると4点で接地するので安定するからです(無い場合は3点で接地)。また転がす場合の利便性の面から、イージーホイールというオプションも必須です。
チタンフレームにすると、リア三角とフォーク、前泥除けのステイ(キャリア無しモデルなら後泥除けのステイも)、左ペダルのボルトがチタンにシートポストがアルミになります。メインフレームとステムはクロモリ[*4]のままです。その他、フロントハブがシールドベアリングの物になり、フロントホイールのスポークもダブルバテッドの軽い物になります(1、2速モデルならリアホイールのスポークもダブルバテッドになります)。だいたい重量が800グラム程軽くなりますが、価格が10万円上がります。
価格さえ気にならないならお勧めです。自転車は軽い方が良いです。特に輪行をする時にはこの1キログラム弱の差が効きます。
- [*4]クロモリ:
- クロムモブリデン鋼という合金。含有物の9割以上は鉄。
電装についてですが、是非にでもダイナモを付けましょう。特にハブダイナモはお勧めです。前後ともダイナモ駆動のライトを付ければ視認性[*5]、被視認性[*6]共に極めて良好になります。
2010年後期からミズタニはダイナモ及び前後灯を最初から装備したモデルを販売していません(多少在庫はあるかもしれません)。ハブダイナモや前後灯はオプション品として購入して装着しなければいならないのですが、ハブダイナモ単体では販売せずハブダイナモを装着したホイールの販売になっています。このホイールが非常に謎です。シマノのハブダイナモを装備したホイールが31500円で販売されているのですが、ハブダイナモ単体で購入すると1万円弱、リムが2500円程度、スポークが28本で1500円程度です。この他にニップルとリムテープが必要ですが、両方合わせても2000円という所でしょう。普通ホイール組みの工賃は3000円前後ですから、それを含めてもバラで購入して自転車屋さんに組んで貰った方が遥かに安くなるのです。
- [*5]視認性:
- 自分の視界がどれくらい明るいか。
- [*6]被視認性:
- 自分(が乗っている自転車)が他者から見た時にどれくらい明るい(目立つ)か。
という感じで推奨構成を考えると以下の物がお勧め構成になります。
・お金に糸目を付けない場合
M6R-X or P6R-X
・安い方が嬉しい場合
M6R or P6R
これに、以下のオプションを付けます。
- イージーホイール
- ハブダイナモ
- 前照灯
- 尾灯
- 44Tクランク(更に軽くしたいならリアスプロケのトップ側を13Tに)
- カバー&サドルバッグ(輪行には必須)
- フロントキャリアブロック
- T-Bag(旧Touring Pannier)かFolding Basket
追記
『追補』を書きました。