- 書名
- 素数夜曲 女王陛下のLISP
- 著者
- 吉田 武
- 出版
- 東海大学出版会
- 価格
- 3600円
- ISBN
- 978-4-486-01924-4
本日読了。870ページもある大著です。大変な意欲作だと思います。およそ 350ページの前半部分は数学の女王たる整数論の話です。後半500ページはLISP の親戚であるSchemeを使って、整数論の色々な事をプログラムとして計算機上 で動作させていきます。Schemeで分かりにく継続の説明なんかも分かり易く書 かれていました。また実行結果をgnuplotで画像化するのも面白いですね。ラム ダ計算(本書内ではラムダ算法と表記されている)の説明もあります。再帰の概 念も、前半の整数論で自然に再帰が使われているのですんなりと理解できる様 になっています。
全体として、説明の丁寧さに疎密があり、疎な部分は自分で式と式の間を補 完しないと理解し難いです。また時々別枠のコラムの様な扱かいでかなり無関 係に見える事が書いてあったりして不思議です。急に分かり難い比喩で迂遠冗 長な講釈がはさまったりもします。
Project EulerとかCode IQに挑戦する人には丁度良い本なのでは無いでしょ うか。ただ極めて大きな問題点がこの本にはあります。兎に角、分厚く重い本 なので持ち運びが辛いという事です。前半と後半が別冊になっていれば、通勤 途中などでも読み易いくて良いと思うのですが、わざわざ一冊にしたのは筆者 の意図もあるのでしょう。
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