友人がいまいちバーの料金体系が分からないと呟いていたので、僕の経験した範囲で説明してみましょう。
ここで言う「バー」というのは日本に於ける居酒屋の一形態の事です。中にはバーという名前なのに、実体はスナックだったりする場合もあるので気を付けましょう。よっぽどタチの悪いスナックでなければ「ショットバーと間違えました」と言って出れば良いだけです。
さてバーですが、色々な種類があります。種類によって傾向がありますが例外も多々あります。
- ホテルバー
- ショットバー
- オーセンティックバー
- レストランバー
- カフェバー
- モルトバー
- ジャズバー
等々。これらの用語は全てが独立した業態を指しているわけではなく、ホテルバーでかつレストランバーであるとか重なる場合もあります。
バーにおいて支払う料金には、以下のものがあり得ます。
- 飲み物自体の料金
- 食べ物自体の料金
- テーブルジャージ
- ミュージックチャージ
- サービス料
1 と 2 には疑問は無いでしょう。3 は席料です。店によってはテーブルチャージが無い事もあります。立ち飲みのバーの場合は大抵テーブルチャージはありません。テーブルチャージは概ね立地で決まります。都内なら 300 円から 3000 円くらいまで幅があります。メニューがある店であれば、テーブルチャージのメニューの片隅に書かれている事が多いですし、普通はバーテンダに聞けば快く教えてくれます (大抵その時に店の料金体系について一通り説明してくれます)。ざっくりした印象だと新宿なら 500 円から 1000 円が多い印象、渋谷はもう少し安め、六本木から青山だと 1000 円超え、銀座の高級店だと 2000 円みたいな感じでしょうか。ミックスナッツ程度のちょっとしたお通しが出てくる店は普通テーブルチャージがあります。
テーブルチャージが無い店には 2 種類あって、1 つは立ち飲みなど純粋にテーブルチャージを取っていない低価格の店。もう 1 つはテーブルチャージを取らない代わりに、1 杯当たりの価格を少し上げている店、です。こういう店は長居せずに、1、2 杯でさっと帰るのが賢い利用方法です。
ミュージックチャージというのは、ジャズバーみたいに生演奏がある店でテーブルチャージとは別に取る料金です。これも立地によっても違いますし、同じ店でも演奏者によって値段が変わる事があります。僕が見た事があるのは 1000 円から 2500 円くらいでしょうか。店によってはテーブルチャージにミュージックチャージが含まれる場合があります。ホテル内の大きなバーだと、同じバーの中でも生演奏が聞こえる席ではミュージックチャージを取るけれど、遠い席だと取らないとかもあります。
サービス料というのは、最終的なお会計に数パーセント乗せられる料金です。おそらく海外のチップ料に相当するものだと思うのですが、僕には正直由来が不明です。そんなもん取るなら飲み物の料金に含めるなりテーブルチャージに入れるなりすれば良いのに、と思います。だいたい 10%前後かな。ホテルバーだと良くあります。
ホテルバーは名前の通りホテル内に併設されたバーです。ホテルが経営している場合もありますが、テナントの事もあります。バーの中でもホテルバーはそれだけでやや特殊なバーだと考えて良いです。ホテルバー以外のバーはざっくり「街場のバー」と呼ばれます。同じ名称のカクテルでもホテルバーと街場のバーでは、出し方に違いがあったりして知らないと驚きます。例えば、ジントニックは街場のバーであれば、バーテンダによって完成させられた物が注文した人の手元に届きますが、ホテルバーだと瓶のトニックウォータと、氷とジン、ライムが入ったタンブラグラスが渡されて注文した人がトニックを瓶に入れるようになっていたりします。他にも街場のバーだとカクテルを作る時の材料の軽量にはメジャーカップを使うけれど、ホテルバーだとハンドメジャー (メジャーカップを使わず目分量すること) だとか細々した差があります。時折街場のバーでもホテルバースタイルで提供する所があって初めて遭遇すると周章狼狽します。
ショットバーというのは、元来は酒をボトル売りする店に対して 1 杯 (ワンショット) 売りする店という意味ですが、こんにちの日本の居酒屋で 1 杯売りをしない店の方が珍しいですから、形骸化した言葉です。ですから日本に於けるバーの分類としては一番広い集合になります。ショット売りをしないバーの方が珍しいでしょう。
オーセンティックバーというのも然程確固たる定義のある言葉でもありません。日本語にするなら「正統派バー」です。格式高く、絨毯とか敷いてあって、ソファーも高級品、グラスも一級品、店内にはクラシックが流れる……みたいなふいんき (何故か変換できない)。大きなホテルだと、ホテル内に複数のバーがある事がしばしばありますが、その時なんかは「N 階にあるメインバーはオーセンティック、1 階のプールサイドにあるバーはカフェバーだよ」みたいな、明確な対比がある場合に使われる言葉ですかね。
レストランバーは、しっかりとした食事が出るバーですね。大箱の事が多いです。ホテルだとレストランに併設されたバーを良く見ます。
カフェバーは日中はカフェとして営業しているバー、だと思います。カフェバーと呼ばれる店に日中行った事が無いので分からない……。一頃、カフェバーが流行って乱立したらしいです。
ジャズバーは生演奏があるバーです。中には生演奏ではなくて古い LP レコードが大量にある店だったりする事もあります。
モルトバーというのはシングルモルトウイスキィに特化したバーです。多少はカクテルや他の酒がある事もありますが、本当にモルト以外何も無い場合もあるので要注意。店員も客も僕みたいなすんごいスノッブが多い (個人の感想です)。