- 書名
- 大東京ぐるぐる自転車
- 著者
- 伊藤 礼
- 出版
- 東海教育研究所
- 価格
- 1600円
- ISBN
- 978-4-486-03719-4
- bk1
- http://www.bk1.jp/product/03408392
本日読了。今回笑ったのは次の一節。伊藤氏が東急ハンズにて目覚し時計を所望した時の一幕。
すると、恐るべし、両輪が回転して時計はたちまち大から床に転落。同時に途方もない音を発し始めた。けたたましさにおいて、その音は驀進する消防自動車が発する警告音に匹敵した。だが音調は消防自動車とは違う。宇宙人が攻め寄せて来たのではないかと思わせる宇宙的音調である。カチャカチャカチャカチャと気短かな金属音を来り返したかと思うと、ヒョーヒョーと物悲しげな犬の遠吠えを思わせるような音を放出する。それを耳にする人間に実在的不安と恐怖を覚えさせる音だ。
宇宙的音調、実在的不安という語句とヒョーヒョーという擬音語の不均衡というかこの文脈でそういう語彙を選定する能力が素晴しいと思う。
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