最近とある理由により自分の本棚を、家の中の別の部屋に移動する必要ができた。これにより今までよりも本を収納する目的で使える空間が減る。今後も本は増える一方なので、極力高効率で本を収納出来るように本棚を再配置しなければいけない。
僕の所蔵している書籍は、ざっくり考えると大半が文庫、その次に多いのが A4 変形判 (新旧各版 D&D のルールブック)、次いで新書、最後に種々の単行本 (上製本、並製本) となっている。単行本が 200 弱、新書が 200 強、D&D ルールブックが 300 程度、文庫本が 2000 から 3000 とかそんなものかと思う。
本棚は大小幾つか持っているが、その 1 つに外寸で高さ 1800mm、幅 1200mm、奥行 300mm のものがある。単純な体積で言えばこれが一番大きい (外寸で 648000 立方 cm)。次に大きいのが高さ 2250mm、幅 900mm、奥行 150mm のもの (外寸で 303750 立方 cm なので前者の半分以下の体積)。
一番体積が大きいのだが、これが一番本棚としての出来が良くない。この本棚は僕が購入した最も古い本棚なのだが、購入当時は 17 歳。まだまだ本棚に対して深い見識を持たない未熟な若者だった頃である。今の自分であれ絶対にこんな本棚は購入しない。だいたい奥行 30cm の本棚って作った側も一体何を詰めるつもりなのだろうか。百科事典か (実は D&D のルールブックならこの奥行で良いが別の理由でこの本棚は D&D のルールブックの収納に不向きである)。
日本に流通している書籍のサイズはいろいろある。文庫は約 105x150mm、新書は約 105x180mm。単行本は色々だが、A5 サイズの上製本で 150x210mm、それより一回り大きい菊判でも 150x220mm 程度である。僕が所持している単行本で菊判よりも大きいものは 10 冊もない (ピアソンから出ていた SICP とか)。
画集とか楽譜とか写真集みたいな大きめの判型の本を大量に所持しているなら兎も角、そうでなければ本棚というのは A5 か菊判が入るぎりぎりの奥行があれば充分である。内寸で 180mm もあれば良い。文庫・新書を中心に収納するならば奥行は内寸 130mm で事足りる。
本棚の高さが 1800mm というのも中途半端である。だいたい近代的な日本の住宅というのは床から天井までは 2300mm 前後ある。1800mm だと天井までの空間が 500mm もあり、ここに書籍を収納出来ないのは無駄としか言えない。
大量の蔵書がある人間にとっては、本棚というのは必要最低限の奥行を持っていて必要最大限の高さを持っている方が良い。幅に関しては環境に合わせて自由に選択出来るよう様々な種類がほしい。のだが、こういう本棚は家具屋やホームセンタに行ってもまず見付からない。だいたいが阿呆みたいに奥行が長い本棚か、スライド式のものである。スライド式は使ってみると分かるが棚にある本が一覧できない等、意外と煩わしい。高さも 2000mm を超えるものは極端に少ない。
こうして家具屋やホームセンタを回った読書家は落胆し、釈然としないまま組み合わせ式のメタルラックやカラーボックスに無理矢理本を詰めていくのである。
究極の解決方法は本棚の自作であるが、これは様々な難関が待ち構えている。
- 作業場所の欠如
- 作業時間の欠如
- 作業道具の欠如
- 作業技術の欠如
僕の場合最初の 3 つは突破出来る。問題は技術である。これも半分はどうにかなる。適切に切断された木材さえあれば、それを必要充分な精度・強度で組み上げる事は出来る。なにせ自家用なので必要充分な精度・強度の閾値は高くない。問題は木材の切断である。巨大な一枚板にケガキを施してこれを狂いなく切断するというのは高等技術である。鋸一本でこれが出来たら宮大工を目指せそうだ。なにせ鋸一本ではケガキが出来ない。木材の切断の精度が低い上に組付の精度が高くないとなると、誤差が累積して結果として歪んだ棚が出来あがりそうである。必死に作った巨大本棚が歪んでいていたら泣ける。時間も資金も気力も有限なのだ。
くだくだと書いてきたが、似た悩みを持つ人々がいるかもしれないので最後に僕のお勧めの本棚を紹介しよう。
「e-書棚」 文庫本用本棚
この本棚は
- 奥行が薄い
- 天井までの高さがある
- 棚板の高さ調整が 10mm 単位
- 幅が 900mm から 1500mm まで 300mm ごとに存在する
というのが利点である。文庫本やコミック、新書を大量に収納するのに向いている。木ネジによる組立式なので、電動ドライバがあると楽。電動ドライバのセットは安価な物ならば 5000 円を切るものもあるので購入を推奨する。今後更に棚を増設する際にも活躍する事だろう。
「本棚屋 別館」薄型本棚
この本棚は
- 奥行が 140mm から 260mm まで 5 種類
- 1 段、2 段、ベース、天板のユニットを組み合わせ式で好きな高さに出来る
- 幅は 110mm から 900mm まで 10mm 刻みで注文可能
というのが利点である。文庫、コミックなら奥行 140mm、上製本なら 180mm の物を選ぶと調度良い。組立も六角レンチがあれば良いだけで簡単である。
さて最後に非常に重要な事。高効率で空間に本を収納した場合、その帰結として問題になるのが床の耐荷重である。一般的な家屋であれば 1 平方メートル当たり 180kg、鉄筋コンクリート造であれば 1 平方メートル当たり 300kg という所である。壁面だけに本棚を設置していくのであれば、金属製の本棚を利用するのでなければ本と本棚の重量でこの耐荷重を超える事はそれ程無いだろう。しかし壁面以外にも棚を設置したり、極端に狭い部屋に本を詰めたりする場合にはフェルミ推定程度の概算はした方が良いかもしれない。畳はフローリングに比べて重量が分散し難いので本棚を置くとその部分だけ沈み込む場合もある。また押入の床は、通常の床面よりも耐荷重が下がるので要注意である。
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