D&D5 版も DMG が発売され基本 3 冊と呼ばれる PHB、DMG、MM が揃いました。5 版 DMG はこれまでの版の DMG と同じく DM 向けにキャンペーン運営指針、シナリオ作成方法などが書かれています。
5 版の DMG の特徴として、多くの Variant/Optional ルールが掲載されている事があります。実に 80 個近い Variant/Optional ルールが DMG には掲載されています。その中でも戦闘中の移動に関連するルールは一見地味ではありますが影響度が大きく扱いに注意が必要です。
まず 5 版の戦闘中の移動及びそれに伴なう機会攻撃のルールをおさらいします。PHB の戦闘ルールはグリッドを使わない前提で書かれていますが、ここでは PHB192 ページの「Variant: Playing on a Grid」を使う物として話しを進めます。
「Playing on a Grid」のルールは簡単にまとめると以下の通りです。
- グリッド 1 マスは 5 フィート
- 斜め移動も 1 マス=5 フィートとする
たったこれだけです。簡単ですね。斜めも 1 マスなのは 4 版を踏襲しています。
5 版の移動に因って発生する機会攻撃のルールは以下の通りです。
- 機会攻撃は reaction
- 隣接しているクリーチャが自分のリーチの範囲外に出たら機会攻撃が発生
従ってリーチが 1 マス (5 フィート) のクリーチャの周囲をドーナツ状にぐるぐると移動しても機会攻撃は発生しません。基本的に、クリーチャ A と B が隣接している時、A が B から遠ざかるか、逆に B が A から遠ざかる方向に移動した時だけ機会攻撃が発生します。
この様なルールなので敵対するクリーチャ同士が互いに後ろに回り込むのは簡単です。そしてそうであるが故に、前衛を越えて後衛に (徐々に) 浸透するのも、3、4 版に比べれば楽になっています。各クリーチャは原則として reaction が 1 ラウンドに 1 回しか取れないので、機会攻撃の回数も少ない事も後衛への浸透を楽にする理由の 1 つです。
DMG にはこれらに関連するルールは 3 つあります。
- DMG251 ページ, Optional Rule: Flanking
- DMG252 ページ, Optional Rule: Facing
Flanking は 3、4 版では同じみの挟撃を取り入れる為のルールです。挟撃すると Advantage が得られます。Facing はキャラクタに向きを付けるルールです。背面から攻撃すると Advantage、盾は盾を持っている側と正面にしか AC ボーナスを提供しなくなります。2 版以前にほぼ同じルールがありました。
Flanking は 3、4 版を遊んできた人には馴染深く安易に取り入れがちなルールですが、影響度はかなり大きいので慎重に検討した方が良いでしょう。PHB のグリッド戦闘、機会攻撃のルールにこの Flanking を入れると、PC もモンスタも極端に攻撃力が増加します。その理由は 2 つあります。
- 5 版の機会攻撃ルールでは 3、4 版と比べて挟撃が取り易い
- 挟撃を取った時の利益が 3、4 版と比べて大きい
同じく Facing も 5 版の、相手の背後を取り易い機会攻撃ルールの上に導入すると安易に Advantage が得られる様になるので、やはり互いに攻撃力が増大する事態を招きます。Facing を導入しない場合と比べて盾の効果が減るので防御力が低下する面もあります。
これらの攻撃力の増大を多少抑制するルールもあるにはあります。
- DMG252 ページ, Optional Rule: Diagonals
Diagnals はグリッドを利用した戦闘の時斜め移動は奇数歩目は 1 マス、偶数歩目は 2 マスとして扱うルールです。3 版の斜め移動と同じになります。これを利用するとクリーチャの移動力が PHB のルールに比べて幾分減じられるので挟撃や背後を取るのが難しくなります。また忘れがちですが基本戦闘ルールに「味方のマスを通り抜ける時は移動困難地形として扱う」というのがあります。これも移動力を減じるルールなので忘れてはいけません。
こと挟撃のルールに関しては取り入れる人も多いかと思いますが、充分に影響を検討してみる事をおすすめします。概して PC の人数よりはモンスタの人数の方が多いので、挟撃のルールは PC よりもモンスタに利する事が多いルールだという事も気に留めておいた方が良いかもしれません。
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