- 書名
- シビリアンの戦争 デモクラシーが攻撃的になるとき
- 著者
- 三浦 瑠麗
- 出版
- 岩波書店
- 価格
- 3300 円
- ISBN
- 978-4000258647
本日読了。
シビリアンコントロール (文民統制) というのはデモクラシー (民主主義) に於ける原則とされています。一般的に文民統制というのは軍の暴走を抑制し、戦争を選好しないものだと考えられています。であるが故に現近代に発生した文民統制下での攻撃的・積極的戦争というのは、軍部の暴走と解釈される事がありますが、本書で筆者はこれを否定しています。
文民統制下に於いて発生した攻撃的戦争として
- イギリスによるクリミア戦争
- イギリスによるフォークランド紛争
- イスラエルによるレバノン侵攻
- アメリカによるイラク戦争
を上げています。これらの戦争では、軍部は戦争に対して消極的・抑制的であり、他方で軍部を抑えるべき文民・国民側が戦争を志向し続けています。強力な文民統制が敷かれている為に反って軍部が政府の命令に逆らえず戦争を遂行してしまうという逆転現象すら発生しているのです。この様な文民に主導される攻撃的戦争を筆者は「シビリアンの戦争」と称しています。
本書は国際関係学の本です。見慣れない用語も多いのですが用語解説と筆者による注記が異様に充実しているので読むに当って困る事は殆どありません。全部で 352 頁の本なのですが、本文は 230 頁で残りの 120 頁は用語解説と注記、参考文献なのです。
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