文豪ポオの詩および詩論を集めた全集です。ポオというと、どうしても「モルグ街の殺人」に代表される探偵小説に目が行きがちですが、詩人としてもまた有名です。
わけても緻密な構成で知られる「鴉」が代表作という事になるのでしょう。詩というのは、その詩が書かれた言葉(この場合は英語)で読まないと、良さは理解しにくいものです。しかしこの詩集では、翻訳者の方々がそういった微妙な点にも配慮していたようで、日本語でありながらも、ポオの詩が持つ不思議な魅力を感じる事ができます。
後半の「構成の原理」では自らの詩「鴉」を分解し、ロジカルに詩を作成していく筆者の詩作方法を紹介しています。続く「詩の原理」では、古今東西の詩の中から筆者の御眼鏡に叶ったものを取り上げつつ、ポエムのセオリィを論じています。
最後に掲載された「ユリイカ」は、ポオが持っていた物理的・精神的宇宙観を描いた論文で、これが圧巻です。ポオの想像力、そしてそれをレトリカルに叙述する筆力は相当なものだった事が分かります。
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