- 書名
- 交換殺人には向かない夜
- 著者
- 東川篤哉
- 出版
- 徳間書店(トクマノベルス)
- 価格
- 838円
- ISBN
- 4-334-07620-3
- bk1
- http://www.bk1.co.jp/product/2594235
本日読了。良くできた作品です。特にタイトルが秀逸ですね。詳しい感想は以下の「続きを読む」をクリックして読んで下さい。ただし一行目から即行でネタバレになってしまうので注意。
この作品は〈交換殺人〉と銘打っていますが、メイントリックは〈叙述トリック〉です。これ凄く上手い陥穽ですよね。ミステリに詳しい人間ほど引っ掛かると思います。本格推理小説マニアの多くは推理小説を読む時、次のように考えます。今回のメイントリックはなんだろう――と。この時頭にあるのは1つのトリックです。1つの作品に大掛かりなトリックが2種類使われるとは余り考えません。そういう思考経路を持つ人達に対して〈交換殺人〉を謳ったタイトルを突きつけるわけです。よっぽど用心深い読者でなければ、メイントリックが交換殺人だと思い込んでしまうでしょう。つまり物語を読み始める前から、作者の仕掛けた罠にはまっているのです。
叙述トリックもなかなか凝った趣向になっています。登場人物の1人が1人3役で別々のシーンに登場してくるんですね。ただ多くの述トリックでは、解決編で読者が納得できるように、物語のそこかしこにヒントが散りばめられています。しかしこの作品では、それが少ないので、叙述トリックに対する読者の納得が得られにくくなってしまっているのが残念な点です。鮮やかだけれど大雑把というところでしょうか。
久しぶりに眠気と戦いながら一気に読んでしまいました。
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