2006年7月21日金曜日

【今日の読書】殺意は必ず三度ある

書名
殺意は必ず三度ある
著者
東川篤哉
出版
実業之日本社(JOY NOVELS)
価格
819円
ISBN
4-408-50465-3
bk1
http://www.bk1.co.jp/product/2674828

 本日読了。『学ばない探偵たちの学園』からのシリーズです。これも秀作ですね。凝ったトリックだと思いますが、無茶な印象は受けません。東川さんの作品は全体的な傾向として「名探偵の不在」というのがありますね。いわゆる本格物の場合、作中に1人だけ優秀な探偵役がいて、その人物が事件を解決するというのが一般的です。ドイル作品ならホームズ、チェスタトン作品ならばブラウン神父、カー作品ならフェル博士かH・M卿、綾辻行人作品ならば島田潔、有栖川有栖作品ならば火村英生か江神二郎、森博嗣作品なら犀川創平か瀬在丸紅子というように(それ故に以前は推理小説ではなく探偵小説という呼び方が一般的だった)。しかし東川さんの作品はこのシリーズにしろ、もう1つの烏賊川市シリーズにしろ明確な唯一にして無二の探偵役というのが存在しません。特にこのシリーズでは色々な登場人物が入れ替わり立ち代り推理を披露して、少しずつ完全な解決に近づくというスタイルです。推理小説ではあっても探偵小説では無いんですね。

 東川さんの作品群が、いわゆる本格物に列するかは議論の余地があるかしもれません。僕は「明確な探偵の不在」を除けば、本格物の要件は満たしているように思えます(そう言えば名探偵が覚えきれないほど登場する作品なんてのもありますね)。また本格的なユーモアミステリである事は間違いありません。



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