最近復刊されたカート・キャノンことエド・マクベインの短篇集です。ジャンルとしてはハードボイルドという事になるのでしょうか。ジャンルの定義自体が不分明ではありますが、洗練されたレイモンド・チャンドラーやロス・マクドナルドのようなハードボイルドが好きな僕としては、この作品をハードボイルドと呼ぶのは抵抗があります。
暴力、酒、女というような要素を主に進む私立探偵の物語ではあります。しかしそれは、質の低いハードボイルド小説が群雄割拠して本格物を駆逐していった、アメリカのミステリシーンの暗黒時代の象徴のように見えてしまいます。あの時期を「暗黒時代」と呼ぶのは本格物愛好者の身勝手かもしれませんが。
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