マウンテンバイクやロードレーサなどのスポーツバイクを買うと、一部の例外を除いて多段ギアが装備されています。概ね、前3段・後8段(24段)、前3段・後9段(27段)、前2段・後9段(18段)、前2段・後10段(20段)というのが標準的なパターンでしょうか。ピストとかトラックレーサという競輪用の自転車の場合、競技の要件からシングルギアになっています(さらに言うとブレーキも無くて、クランクを逆回転させると後ろに進む)。
スポーツバイクに縁のない人は、大抵「何でそんなに沢山付いてるの? ぶっちゃけ3段くらいで十分じゃね」と思うことでしょう。実際僕もスポーツバイクに触れ、いろいろな事を調べるまではそう思っていました。
ここでいったん、話を自動車に移します。クルマを運転する人なら知っていると思いますが、自動車というのはエンジンの回転数を一定にすることで燃費が良くなります(速度が上下するにつれギアチェンジし、回転数を一定に保つようにする)。
燃費が良い、というのは畢竟エネルギィ効率が良いということです。
自転車の場合も同じです。漕ぐ足の回転数*1を一定にすることでエネルギィ効率が良くなります。疲れにくいって事ですね。しかし道には、上りも下りもありますし、舗装路もあれば砂利道もあります。路面抵抗や自分の巡航速度の上下に従い、ギアを細かく変え回転数を一定に保つことで疲労少なく走ることができるのです(従って長い距離走ることができる)。
ならば、ギアが多ければ多いほど良いのか、と言えばそうではありません。ギアを増やせば重量は増加します。重量が増加すれば当然燃費は悪くなります。ですから、使用しないギアや使用頻度の低いギアは、無くして重量を軽くしたほうが良いのです。
例えば僕が乗っているRF-Sは、フロントが48-38-28のトリプルなのですが、今まで1番軽い28Tのギアを必要とした事は1度もありません。僕が主に走る東京23区内ならば、斜度20%を超えるような坂は稀ですし、あっても距離が短いので38Tで上がりきれます。今の僕にとってインナ28Tのギアは重りでしかないわけです。
また、ギアが少ない方がディレイラ(変速機)の変速性能は良くなります。変速性能が良いというのは、(1)変速が滑らか、(2)誤変速が少ない、事を指します。
こういった点(+価格)を考慮した上で、自転車の多段ギアのギア数やギア比は決められているのです。
*1:1分間当たりのクランクの回転数を特にケイデンスといいます。単位はrpm(round per minutes)。最もエネルギィ効率が良いのは、一般的に80rpm前後と言われています。ママチャリでタラタラ走っている時のケイデンスは40-50rpm程度です。
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