- 書名
- 中立国の戦い
- 著者
- 飯山 幸伸
- 出版
- 光人社 NF 文庫
- 価格
- 885 円
本日読了。
第二次世界大戦中に欧州で中立政策を掲げた国が、戦前から戦後に掛けてどの様に立ち回ったか描いた本です。本書で扱っているのは主としてスイス、スウェーデン、スペインの 3 国家です。
スイスはドイツ、フランス、イタリアという主要参戦国に囲まれた位置にあり、国内もドイツ系住民、フランス系住民などが混在していて非常に難しい状況にありました。経済的にはドイツとの結び付きが強く、またスイス国内の親ナチス活動家の暗躍もあり一時期世論はドイツに組みしての参戦に傾きます。しかしアンリ・ギザンという優秀な将軍を得て挙国一致体制を取り、非参戦の中立政策を取ります。ギザン将軍は戦間期には軍備の補強に務め、国防体制を整えていきました。ドイツから恫喝外交をもってフランス侵攻への協力を求められますが、これを拒否。対ドイツの防衛戦線を引いた上で、ドイツにスイス国内主要街道破壊の焦土作戦をも辞さないと宣言します。ドイツからすればアルプス山脈という天然の要害を越えての侵攻は困難を伴なう事は分かり切っています。出血を強いられて侵攻したのに、主たる目標であるスイス国内主要道路=フランス回廊を破壊されては旨みが無いと判断し大規模侵攻には至りませんでした。
こういった内容がスウェーデン、スペインについても書かれています。読んでいて思うのはフランスの存在感の希薄さでしょうか。早々にドイツに占領されてしまうので仕方無いのでしょう。概ね本書に登場する中立国に圧力を書けるのは枢軸国側のドイツ、連合国側イギリス、アメリカです。北欧であればこれに加えてソ連も登場するといった具合です。主要参戦国と陸続きの国家が中立を維持するのはかなり困難ですね。どうやっても国際的な批判は免れない気がします。
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