2011年3月31日木曜日

【今日の読書】ウルトラライトハイキング

書名
ウルトラライトハイキング
著者
土屋 智哉
出版
山と渓谷社
価格
1500円
ISBN
978-4-635-15024-8
bk1
http://www.bk1.jp/product/03376444

 本日読了。

 以前『ハイキング、トレッキング、バックパッキングと言った言葉の指す行為の定義は一体どう異なるのか』という事を調べてみた事があるのですが、その時にウルトラライトハイキングという言葉を知りました(結局ハイキングとトレッキングとバックパッキングの違いは分からなかたけれども)。言葉を知っただけで特段ウルトラライトハイキングというものを気にする事は無く『物凄く軽い装備でハイキングをするって事なんだろうな。そもそもハイキングの定義が不明だけど』と思っていました。
 たまたまネットでアルコールストーブについて色々調べている時にこの本の存在を知りました。出版社のサイトで本書の最初の25ページ程がPDFとして公開されていたので(但しダウンロードする為には会員登録が必用)、それを読んでみた所中々面白そうな内容なので購入したという次第です。

 「ウルトラライトハイキング」とは本書によると2つの側面から定義されている様です。

(1)物理的な条件

 まずハイキングの装備について「ベースウェイト」という言葉を定義する所から始まります。ベースウェイトとは

  • 食料や水といった都度消費・補給する装備と衣服や靴を除いた装備の合計重量
     →つまり食料・水以外の背負う装備の重量

という意味になります。
 バックパック、ツェルト(或いはタープやテント)、寝袋、マット、火器とその燃料、食器類、地図・方位磁石、電装、薬や汲々用具、トレッキングポール(杖の様な物、何でハイキングポールじゃないんだろうか)、その他小物の合計重量という事になります。

 そしてこのベースウェイトが概ね5kg以下の装備である事がウルトラライトハイキングの物理的な条件です。

(2)思想的な条件

 こっちはぐっと曖昧というか捕らえ難いのですが――形而上の話だし――、ハイキング行程を支配する思想面にも条件があります。
 一言で言うと自然環境に対してローインパクトである事です。例えばごみを残さない、焚火の跡を残さない、ごつい登山靴で自然道を踏みしめないという様な事です。しかし僕の感覚からすると、そもそも自然環境に人間が必用も無いのに入り込む事自体が既にローインパクトでは無い気もします。車で山に吶喊して装備過多で化石燃料使いまくってするキャンプなんかと比べれば遥かにローインパクトですけれどね。しかしなんだか自転車趣味を推進する時にエコと声高に叫ぶような綺麗事臭が……。

 さて思想的な部分は良く分からないのでおいておくとして――100文字以上も使って批判しておいて流すも何も無いけれど――この様に定義されるウルトラライトハイキング行為について、本書ではその成立過程の出来事、軽量な装備によって得られる事と失なわれる事、具体的な装備の選択の仕方、どの様に装備を軽量化するかといった事について書かれています。
 ウルトラライトハイキングはアメリカ発祥で、アメリカの自然環境や天候を前提としている部分が少なからずあります。ですからこれをそのまま無加工で日本に輸入するのは問題もあるわけですが、日本に於ける有り方についてもしっかりと書かれているのが嬉しいですね。

 筆者はHikar's Depotという東京三鷹にあるウルトラライトハイキング用品店の方で、ご本人も何度も渡米されアメリカの長大なトレイルを本書通りのスタイルで踏破されていたりもしている様で、装備に関する話は具体的で説得力もあり大変参考になりました。



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