D16さんの感想を見て読みたくなった本。
一時期流行した「陰陽師」の裏側――真の姿という意味では表かもしれません――が書いてある書籍です。陰陽師というとオカルトとかファンタジとか一種の魔法的な性質を持つ異能者と考えられているのでしょうか。しかしながら、式神のような魔法が存在した筈もなく、実際には何か現実的な仕事を与えられた役職なわけです。この書籍には、そう言った「陰陽師の現実」が描かれています。
筆者の言葉を借りるならば、平安時代に於ける陰陽師とは技術官僚に他なりません。一般人には理解できない知識を持っていて、それを使って歴を読んだり祭事を指揮するのが陰陽師の主たる仕事なのです。
いい加減な本が多い中、丹念に一次資料を調べ、重要な部分は現代語訳した上で読者に提示して、「陰陽師の現実」を再構築していく筆者の学究的な態度には信頼が置けます。地に足の付いた確固たる存在としての陰陽師を知りたいならば必読の本と言えるのでは無いでしょうか。
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