2004年7月9日金曜日

【今日の読書】一億三千万人のための小説教室/高橋源一郎/岩波新書

 世には「文章読本」だの「新人賞の取り方」だのと、小説の書き方を解説する本が沢山あります。僕は高橋源一郎さんのこの本を読むまでは、その手の本は全く読んだ事がありませんでした。誰もが考える事だとは思いますが、そんな本を読んだ所で小説が書けるようになるとは、とても思えなかったからです(強いて言えば「小説の書き方を説明する本」の書き方は分かるでしょう)。

 本書も「小説教室」と題されている事から、世に溢れる「小説の書き方」と同じような事が書かれていると思うかもしれません。確かに本書では、小説の書き方について、独特の方法を用いて説明しています。しかしながら、僕がこの本を読んで受けた印象は、小説の書き方を説明している本というよりは、小説とは何かを考える本だな、というものでした。ですから、小説の書き方を求めてこの本を手に取った人は失望してしまうかもしれません。

 元々は、著名人が一日先生になって小学生相手に、それぞれの得意分野に関する授業を行なう、というテレビの企画だった為か平易な文章で書かれています。また、胡麻化しを一切せずに、真摯な態度で「小説」というものを考えていく作者の姿勢は快いものを感じました。

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