今更という感じもする、かなり有名な書籍です。高専時代の地理学の先生がこの本に大変影響されていて、授業中も盛んに引用していた記憶があります。
人間の物の考え方には、森林から発生した円環的な思想と、砂漠から発生した直線的な思想がある、という所から論が始まっています。
森林的思考とは、即ち仏教の思想。森の中にあって明日を生きるに困らず輪廻を信じるもの。砂漠的思考とは、即ちキリスト教(とその土台になったユダヤ教)の思想。砂漠という明日が不確かな場所を生き、来たるべき終末を信じるもの。
この思想の差が文化・文明の差を生んでいるというのが筆者の主張です。
後半では、この考え方を敷衍して日本に於ける森林的・砂漠的思考それぞれの発生の仮定を推測しています。
多量の分布図を提示しながら、慎重に話を進める筆者の姿勢はとても好感が持てます。僕は自然科学を中心に学んで来た人間なので、こういった人文科学の考え方というのは新鮮味を覚えました。話題を呼んだだけの事はある本だと思います。
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