2004年5月13日木曜日

UFOの謎

 UFOと言ったらUndefined Unidentified Flying Objectつまり未確認飛行物体の事です。
 しかし冷静に考えて見ると、この語って主格(主語)が不明なので、定義としては極めて不明確ですね。何を言っているか分からない?

 例えば、飛行機の事なんて何も知らない人がいるとしましょう。自分が旅行に使う飛行機の機体名なんぞちっとも分からん人の事。彼にとっては、日夜自分の上空を飛び交っている飛行機は全て「未確認飛行物体」です。だって、その飛行機がどういうメーカで、どこの航空会社が使っているかなんて全然分からないわけですから。
 逆に、航空博物誌に無茶苦茶詳しい人がいたとしましょう。空港に行くと片端から飛行機の機体名やら由来、製造年月日が分かってしまうような人です。彼女にとって、それらは既確認飛行物体です。

 つまりこの2人が、それぞれ未確認飛行物体といった場合、その語句が示す物体の集合は全然違う物になります。最初に書いた「主格が不明」というのは、要するに「誰にとって未確認なのか」という事です。

 未確認飛行物体という語句が示す集合が一意であるとすれば、国際的な規格として「既確認飛行物体定義一覧(IFODL:Identified Flying Objects Defineded List)」のような物が必要になるでしょう。この一覧に掲載されていない飛行物体が、未確認飛行物体の集合になるわけです。

 更に、トリビアルな突っ込みを入れるとしたら、果してどこまで知っていれば確認した事になるのでしょう。名前を知っているだけで十分なんでしょうか。

 例えば、地球外知的生命体が恒星間宇宙船かなんかで地球にやって来たとして、それを既確認飛行物体定義委員会が名称を確認しました。しかし、その宇宙船を製造したテクノロジは不明のままだとします。
 果してこれは、既確認? 未確認?
 だいたい、世の中の99%の人は飛行機がどうして飛ぶことができるのか、という原理すら知らない訳です。それを実現しているテクノロジが不明ならば未確認飛行物体、という認知になったとすると、地球人のテクノロジで開発された飛行機も、圧倒的多数の人にとっては、理解できない代物であるにも係わらず、一覧に掲載されている事になります。なんと有名無実な一覧なんでしょうか。嘆かわしい。

 やはり未確認飛行物体には大いなる謎がつき纏いますな。

 余談ですが、名前を知らない飛行機はUFOたり得ますが、名前を知らない鳥はUFOではありませんね。それはUFS(Undefined Unidentified Flying Subject)、つまり未確認飛行生物です。

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