ヘンリー・メリヴェール卿が活躍するシリーズ。
H・M卿は故郷イギリスを離れ、慰安を求めて北アフリカはタンジールに向います。そして到着するやいやな、物語の要請に従ってドタバタに巻き込まれるわけですが、今回はH・M卿がかなり悪ノリしていて笑えます。ちゃんとミステリしているのですが、どことなくスラップスティックな雰囲気を帯びています。
それでもカーは流石というか、犯人は極めて以外な人物でした。犯人特定への道のりは、それなりに納得できるものになっています。そう言えば、珍しくハウダニットではなくてフーダニットなんですね。
他方で、密室から消え失せる鉄の箱に関する謎はなかなか面白かったのですが、これを読んでますます感じたのは「ミステリってやっぱりトリックじゃなくてレトリックなんだな」という事。僕等読者は犯人の仕掛たトリックに騙されているんじゃなくて、作者が仕掛けたレトリックに騙されているんですよね。
0 件のコメント:
コメントを投稿