2004年11月18日木曜日

【今日の読書】虚空のリング(上)(下)/スティーヴン・バクスター/早川文庫SF

 『天の筏』『時間的無限大』『フラックス』と続いたジーリーシリーズ中、最大の謎として存在し続けたリングを主題に扱うシリーズ正編にして最大の長編です。

 バクスターは言わずと知れたハードSF作家です。しかもその当時最新の物理学仮説を作品の軸として用いる事が多く、数学や物理学と聞いただけで痙(ひきつけ)を起すような人には辛い点もあるでしょう。そうでない人にとっても、最新の物理学というのは難解です。例えば本書では、超弦理論やら大統一理論なんかが平気な顔をして登場します。
 こういった事柄に、ある程度の知識を持っているとより一層楽しめるので、バクスターと正面からやり合うならば『ホーキング、宇宙を語る』やアイザック・アシモフの科学エッセイシリーズ等、簡単な科学解説本を読んでおくと良いでしょう(両方とも面白い本です)。

 バクスターは、壮大な主題を地味に描くという人(正直、ネタは凄いけれど小説は下手)なので、その「主題」が理解不可能な事には楽しめません。心して読んで下さい。と言った所で、この本は絶版なんですけれどね。


bk1(絶版)



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