2016年10月16日日曜日

UA抄訳 Encounter Building

2016年10月10日にウィザーズのサイトで公開された「Unearthed Arcana: Encounter Building」の内容がなかなか有用だったので抄訳しました。

以下抄訳です。

今回の UA は D&D に於ける遭遇作成指針の代替え案を紹介します。この手法は DMG で提供されている算術に基づいた遭遇体系と同じ手法を用い、それに少しの修正を加え遭遇計算方法をより柔軟にします。

遭遇作成体系は、モンスタの集団によってもたらされる脅威について明確な理解を持ちたいと思う DM によって決定されます。世の DM は自分のセッションでの戦闘を強調したいと望んでいるでしょうし、特定のパーティに対して必要以上に致死的な敵にならないよう保証したいと望んでもいるでしょう。またキャラクタレベルとモンスタの CR の関係についても理解したいと思っているでしょう。

この新しい指針を利用して遭遇を作成する手法は、一連の簡単な手順に分解出来ます。

手順 1: キャラクタの評価

この体系で遭遇を作成する際の端緒となるのは、プレイヤキャラクタの棚卸しです。この体系ではキャラクタのレベルを用いて、キャラクタが闘う事が可能な——或いは困難過ぎ・簡単過ぎて戦うべきではない——モンスタの数や CR を決定します。従ってキャラクタレベルは重要です。それぞれのキャラクタの最大 HP と ST 修正値を記録しておきましょう。同様に最も強力なキャラクタや呪文使いが一回の攻撃でどの程度のダメージを出せるかも注意して下さい。キャラクタレベルや CR は遭遇の困難さを決定するのに有用な道具ですが、それで全てを決められるわけではありませんし、また手順 4 のモンスタの選択に際してキャラクタの追加情報を利用する事になるでしょう。

手順 2: 遭遇規模

一体のレジェンダリィクリーチャと戦うのか、或いは複数のモンスタとの戦闘を作成するのかを決めて下さい。もしただ一体のモンスタを使う場合で、全ての遭遇を人生に於いて興味深いものにしたいと考えるのであればレジェンダリィクリーチャを使うのが一般的です。

手順 3: 数と CR の決定

一連の戦闘作成で、ただ一体のレジェンダリィモンスタを出すのであれば単純です。以下の表中のパーティ人数とキャラクタレベルに合致する所の値が、充分に困難な戦闘の対象となるレジェンダリィクリーチャの CR です。例示しましょう。5 人の 9 レベルキャラクタのパーティの場合は CR12 のレジェンダリィクリーチャが適切な遭遇対象となります。

より致死的な戦闘を演出したければ、表で得られた数値よりも 1 ないし 2 高い CR にすれば良いでしょう。逆にかなり簡単な戦闘にしたければ 3 低い CR にすると良いでしょう。

table1

もし複数のクリーチャを出現させるのであれば、もう少し釣り合いを取る必要があります。最初に決定すべきは、どれだけの数、どれくらいの CR のクリーチャをパーティと相対させたいかです。以下の表はレベル帯 (1 〜 5、6 〜 10、11 〜 15、16 〜 20) ごとにどうやって均衡を図るかの指針を提供します。

このような遭遇を作るには、まずそれぞれのキャラクタのレベルに適応する表を選択します。それぞれの表には、あるレベルの 1 人のキャラクタと同等の戦力となる CR と数が書かれています。

コロンの左側の数値はそのレベルのキャラクタの人数です、右側はその人数のキャラクタと同等の戦力と評価されるモンスタの数です。

1 レベルキャラクタを例に読んでみましょう。まず 1 〜 5 レベル用の表を見ます。そのキャラクタレベル 1 の行を見て下さい。そこを見ると 1 レベルキャラクタ 1 人に対しては CR1/8 のモンスタであれば 2 体、CR1/4 のモンスタであれば 1 体で同等の戦力であると書かれています。表の数値は逆に CR1/2 以上のモンスタは 1 レベルキャラクタ 1 人には荷が勝ち過ぎる事を示しています。CR1/2 のクリーチャは 1 レベルキャラクタ 3 人で、CR1 のクリーチャは 5 人で相手するに丁度良い相手という事です。

table2

3 レベル 4 人のパーティを例に遭遇を作成してみましょう。表を見れば CR2 の敵はこのパーティに良く適応するという事が分かりますし、CR3 のクリーチャは手に余りそうだと予測出来ます。

同じようにして、異なる CR を混ぜた場合を考えます。また 3 レベル 4 人を前提にします。まず CR1 を一体選択出きます。これは 3 レベルキャラクタ 2 人分に相当します。まだ残り 2 人のキャラクタがいますので、これに見合うモンスタを割り当てます。CR1/4 を 2 体としましょう。これで 1 人分です。さらに CR1/2 を 1 体追加すればこれで残りの 1 人分が埋まります。結果として遭遇は、CR1 が 1 体、CR1/2 が 1 体、CR1/4 が 2 体となりました。

キャラクタのレベルがばらばらの時は 2 つのやり方が考えられます。ひとつは、パーティ内の同じレベルのキャラクタ同士の小集団を作り、この集団ごとに上記手法で遭遇を作成し最後にキャラクタの小集団とモンスタの小集団を合体させる方法です。もうひとつはキャラクタの平均レベルを用いる方法です。

この手法で作られる戦闘は挑戦しがいのあるものになりますが、しかしまだ勝利しやすいものです。もし難易度をより簡単にしたい場合は、パーティの人数を 2/3 と見做してたり、困難にしたいならばパーティ人数を 1.5 倍と見做して計算すれば良いでしょう。

弱いモンスタと高レベルキャラクタについて: 紙面の都合と表を簡素にする為に、高レベルキャラクタ用の表には低い CR のモンスタの場合を記載していません。それらの値が必要な場合、高レベルキャラクタ 1 人に対して低レベルモンスタ 12 体の割合で計算して下さい。

手順 4: モンスタの選択

先に記載した表を使ってモンスタの CR を決定してしまえば、個別のモンスタを選ぶ準備は整ったも同然です。しかしこの「モンスタ選択」は科学よりもコツの領域です。

CR ごとのモンスタを評価し、どのようなモンスタをパーティの前に積み上げるのかは大切です。HP、攻撃、ST は役に立つ指標です。モンスタが弾き出すダメージとそれぞれのキャラクタの最大 HP を比較しましょう。もしあるモンスタが一撃でキャラクタを落す事が出来るのであれば注意して下さい。その戦闘を致死的なものにしたいのであれば別ですが。

同様に、モンスタの HP とパーティ最強キャラのダメージや呪文も比べて下さい。相当数の敵が最初のラウンドで倒されてしまう場合、それは簡単な遭遇であると言えます。またモンスタの最良攻撃にパーティで最も脆弱なキャラクタの ST で抵抗する場合とその逆も比較して下さい。

もし算出した CR に良いモンスタが存在しなかった場合、手順 3 へ戻ってやりなおして下さい。

手順 5: 複雑化

多くの D&D ゲーマは遭遇を単なる戦闘として楽しんでいますが、一方で現実には状況次第で問題をロールプレイで解決できる可能性もあります。そういった今まで知らなかった D&D の楽しみをプレイヤは試してみたいかもしれません。

モンスタの個性

時間があるならば、幾つかのモンスタには名前と個性を加えておきましょう。DMG の 4 章「Creating Nonplayer Characters」の表か、手っ取り早く次の表を使うか、自分で考えるかして下さい。戦闘の間、個性によって決定されたモンスタの思考は、その行動を決めるのに役立ちます。

table3

モンスタとの関係

モンスタは競争相手なのでしょうか、憎むべき敵なのでしょうか、あるいは友情を交す存在なのでしょうか。キャラクタが敵との会話をしようしなかったとしても、そういったモンスタとの関係は戦闘中のモンスタの行動の指針となります。

table4

地形と罠

戦場が幾つかの要素によって興味深いものになっているならばそれは長く記憶に残る遭遇となるでしょう。戦闘が発生する場所を例えそこで戦いを行なわなかったとしても挑戦しがいのある場所にしようとする事は良い事です。何がキャラクタの興味を惹くのか。何故モンスタそこを徘徊しているのか。興味深い場所の特徴は即興を助けてくれますし、事を新鮮にしてくれます。

遭遇場所に無作為な詳細情報を付加するならば、DMG の Appendix A「Random Dungeons」の表を使うと良いでしょう。

無作為な出来事

遭遇場所にキャラクタが決して入らなかった場合何が発生するのか考えましょう。衛兵が勤務時間を終えて交代するでしょうか。他のキャラクタやモンスタがそこを訪れるでしょうか。クリーチャが何か食べたり噂をしたりするのでしょうか。あるいは自然現象が発生するかもしれません。強風、地震、降雨などその場でその時々に何が起きるのでしょうか。無作為な出来事は予期出来ない要素であるからこそ楽しいのです。もし戦闘の結果が分かりきっているのであれば、予測出来ない事件は遭遇に興を添えてくれます。

DMG に掲載されている幾つかの表を無作為な出来事を付加するのに役立ちます。5 章の「Adventure Environments」は野外遭遇に、Appendix A の「Random Dungeons」は屋内遭遇に使えるでしょう。

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