- 書名
 - 自転車ぎこぎこ
 - 著者
 - 伊藤 礼
 - 出版
 - 平凡社
 - 価格
 - 1600円
 - ISBN
 - 978-4-582-83460-4
 - bk1
 - http://www.bk1.jp/product/03179439
 
 本日読了。『こぐこぐ自転車』に続く――といっても内容に連続性はありませんが――自転車にまつわる随筆集です。やはり前編に肩の力が抜けたような雰囲気があり気軽に読めます。中に「カルピスの原液を飲んでしまったこと」という題名の話があるのですが、もしこんな題名の随筆を30か40歳そこそこの若いライターが書いたならば、雑誌連載でネタに困って適当な話でお茶を濁しやがってと思うのですが、これが80歳に迫らんとする自転車乗りの方が書かれたとあれば話しは違ってきます。まず題名を読んで、そんな血糖値あげて血圧とか大丈夫かしらんと心配になるわけです。
 また筆者が文学の教授であられたからなのか、語彙の選択がなんとも洒脱です。例えば267頁の一節。
このカツ丼は相当ひどく、その不味さのひき起こした絶望感を解脱するために、翌日もういちど別のH市でカツ丼を食べたほどである。
この「絶望感を解脱する」なんて生半に出てくる言葉ではありません。
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