2015年5月10日日曜日

【今日の読書】戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する [756]

書名
戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する
著者
梶井 厚志
出版
中公新書
価格
760 円
ISBN
4-12-101658-0

本日読了。

ゲーム理論の入門書なのですが筆者が機知に富んでいて、所々に冗談めかした例示があたりしてかなり面白く読めます。特に第1章が奮っています。冒頭からして

 閉店間際のデパートの地下食料品売り場では、値下げシールをめぐって権謀術数が繰り広げられる。店は翌日に持ち越すことのできない商品を、値下げをしてでも得り切ろうとしているが、値下げのタイミングが早すぎれば売上に響くから、定価で買う気がある人がいるうちは値下げをしたくない。一方で、この時間帯には値下げされてから買おうという常連客も出撃して来ていて、お目当ての商品の売り場から適度な距離を保ってあたりを徘徊しつつ、シールが貼られるのを辛抱強く待つ。すると、しびれを切らしたかのように、20%引きのシールをもった店員が、ワゴンを押しつつ店の奥から登場する。それに応じてめざす商品との間合を微妙に詰め、他の競争相手が自分の進路に踏み込んでこないように体を寄せていくこの常連さんたちの鋭い動きは、イタリア代表サッカーチームの守備を彷彿とさせる。

と始まるのです。しかし内容は至って真面目でゲーム理論の基礎を軽妙な語り口で概説していきます。読んでいて感じたのは同じ中公新書の「経済学的思考のセンス」との類似でしょうか。卑近な例を用いて学問を解説する所が特に似ています。本書の筆者も経済学者で、研究内容を見ても経済学の分野でのゲーム理論などで業績を上げた人の様です。

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