2025年5月18日日曜日

Greyhawk Walkers Guide 15

# ウィー・ジャス:秩序と死と魔法の女神


## 基本情報


ウィー・ジャス(Wee Jas)は、秩序にして中立(秩序にして悪の傾向あり)の中級神格であり、魔法、死、法、虚栄心(美)を司る神として崇拝されています。彼女は「魔女の女神」「ルビーの魔女」「厳格なる貴婦人」「死の守護者」などの別名で知られ、炎に包まれた赤い頭蓋骨をシンボルとしています。彼女の領域はアケロン次元のティンティブルス層にあるパターンド・ウェブ(模様の織り成す網)という要塞と、オカンサス層のキャバル・マカブレにあります。


## 外見と性格


ウィー・ジャスは常に魅力的なスール族の女性として描かれ、美しく精巧なガウンを身にまとい、頭蓋骨と宝石をモチーフにした宝飾品を身につけています。彼女のガウンは一瞬で何度も外観を変えることがあり、常に最新の流行とエレガンスを体現しています。彼女は永遠に若く、死すべき者の前に姿を現す際も決して畏怖の念を損なうことはありません。


性格的には、ウィー・ジャスは非常に秩序的で規律を重んじ、物事が自分のやり方で行われることを好みます。彼女は極めて自信に満ち、時に虚栄心が強いとも言われますが、これは彼女の美の女神としての側面の表れでもあります。彼女は力への執着から悪の傾向を持ちますが、これは彼女が害を望むというよりも、搾取されたり無力な人々は自分自身がそうなることを許しており、法の支配を自己の利益のために利用することは許容されるという彼女の立場によるものです。


彼女はまた、長い時を経た古代の知恵を持ち、変化には慎重で、行動を決定する際も熟慮します。千年以上の伝統に縛られ、彼女の教会も信者を増やすのも失うのも遅いですが、比較的安定した状態を維持しています。


## 神としての力と能力


ウィー・ジャスは魔法の達人です。彼女はあらゆるレベルの魔法使いの呪文と、低レベルのクレリック、ドルイド、幻術師の呪文をすべて知っています。彼女は1ラウンドに最大9レベル分の魔法を使用でき、種類やレベルを自由に組み合わせることができます。また、永続的な不可侵の球体を纏っており、これは低レベルの魔法に対して完全な免疫を持ちます。


死の女神として、ウィー・ジャスは高レベルのクレリックとしてアンデッドを退散させたり支配したりする能力を持ちます。彼女は秩序のアンデッドやドラゴンを召喚して命令を下すこともできます。さらに、彼女には能力値変更の力があり、キャラクターの知力、判断力、魅力を上下させることができます。


彼女の力は強大で、オースで最も強力な神々の一人とされています。ボッコブはスール神話の外にあるため、ネラルはフラン神格であるため、フォルタスはオエリディアンの神であるため、それぞれ彼女と直接競合することなく、彼女は4つの強力なポートフォリオ(魔法、法、死、美)の守護神として比類ない地位を維持しています。


## 歴史と神話


ウィー・ジャスはスール帝国の魔法の女神として、その最盛期に魔法の研究を見守り、帝国の崩壊後は民族の絶滅の危機にある彼らを慰めました。彼女は元々は主に魔法と法を司る神でしたが、無色の炎の雨によるスール帝国の崩壊後、生存者たちが死者の魂が安全に来世へ導かれることを求めるようになり、死の側面も獲得しました。


彼女にまつわる神話には、「秘術の井戸」「神なき死者」「愛は賭け事」などがあります。「秘術の井戸」では、彼女が自分の神としての本質を注ぎ込める魔法の井戸を作り出し、見かけの力のレベルを低下させる一方で、必要な時には瞬時に完全な力にアクセスできるという策略が語られます。「神なき死者」では、特に敬虔でなかったスール人の魂は死後に彼女のもとへ行き、彼女は一部を新しいスール人として転生させるという信仰が説明されています。「愛は賭け事」は彼女と混沌の神ノレボとの恋愛関係を描き、彼らの最初の口論が南部クリスタルミスト山脈を炎上させ、現在のヘルファーネスという名前の由来になったとされています。


## 信仰と教会


ウィー・ジャスの信者は総称して「ジャサディン」と呼ばれ、その多くはスール族の人間です。彼女の聖職者は常に秩序属性で、50%が秩序中立、30%が秩序にして悪、20%が秩序にして善とされています。聖職者は属性によって異なる法衣を着用し、善なら黒、中立なら灰色、悪なら白を身につけます。


彼女の教会には厳格な階級制度があり、下位の聖職者は上位の聖職者に絶対的に従うことが期待されています。9レベルに達した聖職者は「魔術師」という称号を得、寺院の長は「高位魔術師」と呼ばれます。


寺院は魔法使いの塔のような壮麗な建築物で、芸術的な彫像と控えめな頭蓋骨のモチーフで装飾されています。多くの寺院には広範な図書館があり、法律の記録や古代の魔法の知識が保管されています。一部の寺院では、最上部に永続的な魔法の火が燃えています。


聖日には「上弦の月の夜」があり、この夜には信者たちが魔法の焚き火を灯し、女神への賛美を捧げます。「女神の紅潮」はコールドイーヴンの4日に行われ、前年に発見された最も価値のある宝飾品が火の中で女神に捧げられます。10年ごとに行われる「ルビーの集会」は、教会の進歩を祝う大きな社交イベントです。


## 教義と哲学


ウィー・ジャスの中心的な教えは「魔法はすべての鍵」というものです。彼女は信者たちに、魔法の研究を通じて世界の理解、個人の力、安全、秩序、そして自分の運命の支配が得られると教えています。また、先人たちが残した知識を尊重し、自分の死後も後に続く者たちによって学びと記憶が称えられることを約束します。


死の女神として、彼女は死を物事の自然な秩序の一部と見なし、人間の存在を定義する法則の一つと教えています。彼女は地位に関係なく死において彼女のもとに来るすべての人を歓迎し、来世で彼らを安全に保ちます。彼女の焦点は死者の体ではなく精神にあり、アンデッドへの自発的な変換は許容しますが、非自発的に魂を現世に召喚してアンデッドに変えることには反対します。


法の女神としての側面は、魔法を定義し制御する必要性から生じています。古代スールの人々が最初に魔法の法則を学び、それを基に人間の法律のコードを作成したとされています。


さらに、ウィー・ジャスは愛の女神でもあります。彼女は婚約結婚、徐々に発展する愛情、そして持参金の守護神である一方で、混沌の神ノレボに対する情熱的な愛から、激しい恋愛や駆け落ちも祝福します。この二面性から、彼女は悲運の恋人たちや報われない愛の守護者としても定義されます。


## 他の神々との関係


ウィー・ジャスは秩序のスール神々と良好な関係を持ち、混沌の神々とは対立しています。特に注目すべきは混沌の神ノレボとの恋愛関係で、これは彼らの哲学的違いにもかかわらず続いています。彼女はまた、魔法の知識の神ボッコブを尊重していますが、美の女神マイリスを嫌っています。


デーモンや混沌のアウトサイダーは彼女を嫌悪していますが、彼女はこれらの生物が召喚されて秩序がどのようなものかを味わうという考えを楽しんでいます。混沌のアンデッドは彼女を避けますが、彼女の命令には従わなければなりません。


## 聖職者の役割と実践


ウィー・ジャスの聖職者は、法的紛争の仲裁、結婚契約の交渉、結婚の祝福、魔法についてのアドバイス、新しい魔法の研究と創造、墓地のパトロール、そして葬儀の執行を行います。彼らは学問的な方法で訓練され、次第に難しくなる試験で区切られた教室での指導を受けます。


聖職者は死者の蘇生に関して特に厳格なルールを持ち、ウィー・ジャスの許可なく(直接的にコミューン呪文を通じてか、間接的に神の使者を通じてか)死者を蘇らせることを禁じられています。彼女は秩序でない者の蘇生を許可することは少なく、混沌の生物の蘇生を許可する確率はさらに低いです。


また、ウィー・ジャスの聖職者は他の聖職者にはない特別な能力を持ちます。彼らは低レベルの呪文の詠唱時間を短縮できるボーナスを受け、高レベルになるとより高レベルの呪文にもこのボーナスが適用されます。


## まとめ


ウィー・ジャスは、スール族の遺産である魔法と死の女神として、オースにおいて重要な位置を占めています。彼女は魔法の実用的、創造的、美的側面を管理し、死者の魂を守護し、法と秩序を維持します。彼女の複雑な性格—厳格さと情熱、秩序への執着と愛への理解—は、彼女を単なる一面的な神格ではなく、多層的で興味深い存在としています。


彼女の教会は秩序と階級を重んじる一方で、知識と魔法の研究を推進し、死者への適切な敬意を教えています。ウィー・ジャスの信者たちは、彼女の教えに従うことで、生と死の理解、魔法の力の習得、そして自分自身と世界の秩序への貢献を目指しています。

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